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前十字靭帯再建術後の神経筋電気刺激って効果あるの?

整形外科/スポーツ関連

前十字靭帯再建術後(ACLR)のリハビリテーションで、大腿四頭筋筋力強化のために神経筋電気刺激(Neuromuscular Electrical Stimulation; NMES)とかって使いますか?私はけっこう使うんですよね。

単純に筋力を強化するためというよりは、ACLR後に生じる関節因性筋抑制(Arthrogenic muscle inhibition; AMI)による随意運動での大腿四頭筋活性化不全で筋委縮が進行してしまうのを防ぐために使っています。術後早期は関節内腫脹も強いのでAMIの生じるリスクが非常に高く、エクササイズをやってもらってもなかなか内側広筋などの筋収縮がえられないことをたびたび経験します。その時に、NMESはひとつの有効な手段になります。

ACLR後のAMIに対する介入の効果に関するSonnery-CottetらのScoping review1)では,20件の論文をレビューした結果,有効性についてのエビデンスを下記のようにまとめました。

  • 中程度・・・Cryotherapy, 身体運動
  • 低い・・・神経筋電気刺激(NMES), 経皮的電気神経刺激
  • 非常に低い・・・超音波, vibration(振動療法)

AMIに対する有効な介入についての研究は今後も発展していくと思われるので要注目なのですが、現時点ではアイシングなどのCryotherapy+エクササイズ+NMESの組み合わせがいいのではと思います。これは私の経験ですが、Cryotherapyだけだとうまく筋収縮入れられない場合にNMESで筋収縮を強制的に入れてから、随意的な収縮を入れるエクササイズを行うと即時的にその後の大腿四頭筋の筋機能が改善することがあります。

ACLRに対するNEMSの効果については、メタアナリシス2)もでています。

この論文にて11件の研究includeされて、そのうち6件の結果がメタアナリシスで解析されました。PEDroスコアは3/10~7/10点。

結果、標準的な理学療法と比較してNMES併用した場合に、手術後4~12週間の筋力増強の短期効果が有意であったことが示された[SMD = 0.73 (95%CI 0.29-1.16)]。

Hauger AV.2018 1)より引用 一部改変

身体機能もNMES群で有意に改善したという結果でした。

ちなみにNMESはどんなセッティングだったかのか、メタアナリシスにincludeされた論文をいくつか下の表にまとめました。周波数30-50Hz, Pulse width200-300㎲, 通電時間10秒前後くらいが多い感じですね。

AuthorsHzPulse width
(μs)
Duty cycle sec
on:off
On-time total/
per week(min)
Intensity
(mA)
Delitto (1988)50N/A15:5056/19Max tolerrable
Feil (2011)50N/APS 10:50 
KH 5:10
1200/100≤70
Paternostro-Sluga
(1999)
30/50N/A5;15308/56Max tolerrable
Taradaj
(2013)
5020010:5060/15Strong
Wigerstad-Lossing (1988)303006:10274/46Max tolerrable
NMESのセッティング Hauger AV.2018 1)より引用 一部改変

NMESの効果についてまだ議論が続いている部分もあるのですが、AJSMに今年発表された論文3)で筋繊維レベルでの変化につて検証されてました。ちょっとマニアックですが紹介します。

この研究ではACL損傷後すぐの時期からNMESを実施し、ACLR後3週間まで継続して、骨格筋の繊維サイズと収縮力を評価しました。

▸研究デザイン: RCT

▸方法 初回ACL断裂を起こした患者(男性12人/女性13人)を、ACL損傷した下肢の大腿四頭筋にNMES(5日/週)またはプラセボ(模擬微小電流電気神経刺激、5日/週)群に無作為に割り付け。手術後3週間後に両側大腿四頭筋の生検を行い、骨格筋繊維の大きさと収縮力を測定した。大腿四頭筋の大きさと筋力は術後6ヵ月後に評価。

NMESの治療介入は、受傷後3週間以内に開始し、手術後3週間まで継続。手術直前に中止、手術後72時間以内に再開。患者は週5日、1日60分間のNMESを自宅で受けた(5分間のウォームアップ、50分間の刺激セッション、5分間のクールダウン)。NMESの設定は、Duty cycle 25%(10秒on、30秒off)で、対称的な二相性のパルス(50Hz, 400㎲)。

50分を週に5日は多いですね。。そこまではなかなかやれない。。

▸結果 合計21名の患者(男性9名/女性12名)がこの試験を終了。NMES群のアドヒアランスは85%±6.5% (42%~100%)、プラセボ群のアドヒアランスは63%±6.8%(19%~98%)。介入期間はNMES群(58±7日)とプラセボ群(57±7日)で同程度。

術後3週時点のSingle Muscle Fiberの解析では、

  • NMES群は、速筋ミオシン重鎖II線維(fast-twitch myosin heavy chain ; MHC Ⅱfibers)に作用して筋繊維の萎縮を減少
  • NMES群は、遅筋MHC I線維(slow-twitch MHC I fibers)の収縮力を維持し、最大収縮速度を増加させ、パワー出力を維持した

手術後6ヶ月後のグループ間の筋力差は有意でなかった。

論文読んでまとめてみましたが、筋線維のタイプと評価方法については、正直よくわからないところが多かったです。。勉強する必要ありですね。。

長期的な機能が変わらない可能性があることは微妙な感じがありますが、少なくとも早期の介入としてNMESを導入することは筋委縮防止と早期の機能改善に有効ではありそうです。

参考文献

  1. Sonnery-Cottet B, Saithna A, Quelard B, et al. Arthrogenic muscle inhibition after ACL reconstruction: a scoping review of the efficacy of interventions [published correction appears in Br J Sports Med. 2019 Dec;53(23):e8]. Br J Sports Med. 2019;53(5):289-298. doi:10.1136/bjsports-2017-098401
  2. Hauger AV, Reiman MP, Bjordal JM, Sheets C, Ledbetter L, Goode AP. Neuromuscular electrical stimulation is effective in strengthening the quadriceps muscle after anterior cruciate ligament surgery. Knee Surg Sports Traumatol Arthrosc. 2018;26(2):399-410. doi:10.1007/s00167-017-4669-5
  3. Toth MJ, Tourville TW, Voigt TB, et al. Utility of Neuromuscular Electrical Stimulation to Preserve Quadriceps Muscle Fiber Size and Contractility After Anterior Cruciate Ligament Injuries and Reconstruction: A Randomized, Sham-Controlled, Blinded Trial. Am J Sports Med. 2020;48(10):2429-2437. doi:10.1177/0363546520933622

 

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