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理学療法はセラピストと患者の「共同プロジェクト型の取引」

本の感想や雑感

社会派ブロガーとして有名な、ちきりんさんの「徹底的に考えてリノベをしたら、みんなに伝えたくなった50のこと」をちょっと前に読みました。

この本は著者自身の自宅のリノベに関することがメインテーマなのですが、家事における導線のことや、生活スタイルに家をあわせる考え方、リノベというプロジェクトの進め方など、「リノベ」という枠組みを超えた目から鱗の情報や考え方が盛りだくさんで、リノベをする予定がない方にもおすすめの本です。思考過程や考え方を売るっていうのがさすがのマーケット感覚ですね。

この本の中で特に私にとって大きな学びとなったのは「等価な価値を交換する取引」と「創出した価値を分け合う共同プロジェクト型の取引」という取引の分類です。

世の中の取引には、売り手と買い手が「等価な価値を交換する取引」と「両者で共に創出した価値を分け合う共同プロジェクト型の取引」があります

徹底的に考えてリノベをしたら、みんなに伝えたくなった50のこと ちきりん(著)

日常的な買い物などの取引は「等価な価値を交換する取引」。

それに対して、売り手と買い手が共同して価値を生み出し、生み出された価値を両者で分け合うのが「共同プロジェクト型の取引」。

その典型例として挙げられているのが医療です。

“医療というのは医者と患者が共通の目標に向かって共に努力して価値を生み出し、その価値を医者は収入ややりがい、名声や経験値として、患者は健康として分け合う共同プロジェクト型の取引”であり、医療者-患者の双方が協力しあって進めていくことにより目標(健康)を達成できるということです。

理学療法、リハビリテーションは、医療の中でも共同プロジェクトの最たるものではないかと思います。

理学療法士から患者へ一方的に徒手的な治療を施して、患者は受け身で治療終わり、というだけでは一時的に改善が得られたとしても、再発や慢性化または理学療法士に依存してしまうことになってしまい、本当の意味で患者の状態が改善せず、生活の質が上がらないということがままあります。

理学療法士と患者は相互に関係しあう循環システムとして、ともに影響しあうなかで治療を進めていくようなループモデルで考えるとよいのではないかと思って簡単なループ図作成してみました。

ステップ1 治療初回~

理学療法士は患者からの情報提供に応じて、適切な評価を行い、評価に基づいた治療(徒手療法・運動指導・生活指導など)を行う。患者は運動指導・生活指導について生活の中で実践する。

ステップ2 治療2回目以降

患者は、治療やエクササイズの効果のフィードバックを行う。理学療法士は状態を再評価して方針の見直しや継続を指示する。このループを回していくことで改善に向かっていく。

ベースとなるのは相互の信頼

患者から理学療法士への信頼がなければ、共同プロジェクトとしてループが成立しない。理学療法士も患者を信頼し、ベストな治療や説明を提供することで、さらに信頼を得るように努める。

患者さんとの関係でなんとなくもやっとしていたことが、ともに価値を創出する「共同プロジェクト」として考えると、すっきりしました。言語化できるってすごい。リハビリも共同プロジェクトですよって考えておくと、患者さんへの説明の仕方や指導の際の言葉選びも変わって、より良い関係づくりができそうです。

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