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膝蓋腱炎/ジャンパーズニーにPRP(多血小板血漿)は有効か?

Study

ジャンプ系種目に多く、慢性化すると治療に難渋する膝蓋腱炎/ジャンパーズニー。
保存療法についての最新のシステマティックレビュー/メタアナリシス1)がでたので、まとめてみました!最近耳にすることの多いPRP(多血小板血漿)についてもメタアナリシスで検討されています!

2017年1月4日に膝蓋腱炎に関する保存療法の文献を検索

Victorian Institute of Sport Assessment scale for patellar tendinopathy (VISA-P)スコア 2) を結果の指標としている研究に限った
ちなみにVISA-Pスコアの臨床的最小有意差は13点 3)

遠心性収縮トレーニング(7論文)、体外衝撃波; ESWT(7論文)、一回のPRP注射(6論文)、複数回のPRP注射(6論文)についてメタアナリシスを実施

結果のフォレストプロットは下記の図参照

  • 6ヵ月以内(平均2.7ヵ月)の短期成績では遠心性収縮トレーニングが最も良い改善
  • 6ヵ月以上(平均15.1ヵ月)の中長期成績では複数回のPRP注射が最も良い改善

Andriolo L, et al.AJSM.20181)より 筆者作成

考察

  • 最初の治療としては遠心性収縮トレーニングがよく用いられる お金もかからず特殊な器具も必要ない
  • PRPを行ったグループは介入前のスコアが低い(PRPを検討する場合は重症なケースが多い?)
  • 複雑なケース(重症、長期にわたり症状あり、他の治療が奏功しない)の場合はリハビリテーションに加えてPRPを導入するとよいのでは?(PRP後のリハビリテーションを行わないと結果が悪くなるとの報告あり)4)
  • 遠心性収縮トレーニングのプロトコルはいろいろ報告されている。e.g.15RMを20セッション、6週~1年継続
  • その他のリハビリテーション治療(求心性収縮、Heavy Slow Resistance Training、ストレッチング、筋膜モビライゼーションなど)、機器を使用した治療(超音波治療やレーザー治療など)、注射(ステロイドや硬化剤)については報告が少ないため、効果を議論するためには質の高い介入研究が必要

 

臨床で治療を進める際には、ストレッチングや動作の指導、動的アライメントの修正を行いつつ、遠心性収縮トレーニングのプロトコルを導入し、半年以上たって十分な改善が得られない難治性の場合はPRPを検討するということが良いのかなと思います。トップアスリートや復帰を急ぐ場合は早期からのPRPも検討の余地があるかもしれません。

2018年7月現在、日本ではPRPは保険診療適応となっていないため、限られた医療機関で自由診療として受ける必要があり、費用がやや高くなるのが難点です。。。

 

ところでVISA-Pスコアって妥当性が確認されている日本語版ってすでに作成されているんでしょうかね。私が探した限り見つけられませんでした。。。当院でもVISA-Pスコアをとっていますが、英語圏の患者は英語のままでよいとして、英語ができない場合は日本語に訳されたものが必要です。
参考までに私が日本語訳したものを載せておきます。

VISA-P スコア 日本語訳(筆者作成, 妥当性検討なし)

VISA-P score 和訳

 

参考文献
1) Andriolo L, Altamura SA, Reale D, Candrian C, Zaffagnini S, Filardo G.Nonsurgical Treatments of Patellar Tendinopathy: Multiple Injections of Platelet-Rich Plasma Are a Suitable Option: A Systematic Review and Meta-analysis. Am J Sports Med. 2018 Mar 1:363546518759674. doi:10.1177/0363546518759674. [Epub ahead of print]
2) Hernandez-Sanchez S, Hidalgo MD, Gomez A. Responsiveness of the Visa-P scale for patellar tendinopathy in athletes. Br J Sports Med. 2014;48(6):453-457.
3) Visentini PJ, Khan KM, Cook JL, Kiss ZS, Harcourt PR, Wark JD. The Visa Score: an index of severity of symptoms in patients with jumper’s knee (patellar tendinosis). Victorian Institute of Sport Tendon Study Group. J Sci Med Sport. 1998;1(1):22-28.
4) Kon E, Filardo G, Delcogliano M, et al. Platelet-rich plasma: new clinical application: a pilot study for treatment of jumper’s knee. Injury. 2009;40(6):598-603.

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