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ランニングシューズはクッション性が高いほうがケガしにくい?

整形外科/スポーツ関連

ランニングする際の靴選び重要ですよね。ちなみに私は月に40kmくらいのレクリエーションレベルのランナーです。ランニングは習慣にするのがなかなか難しいですが、走り終わった後は頭も体もすっきりしてとても気持ちいいですよね。最近は走るときのシューズにasicsのGT2000を使ってます。クッション性も適度でとても走りやすいです。

基本的には健康にいいことが知られているランニングですが、ケガのリスクもあります。シューズのクッション性はランニングの際のケガのリスクに影響するのでしょうか?

過去にもいくつか研究報告があるのですが、今回は2020年2月にAmerican Jornal of Sports medicineで発表されたランニングシューズのミッドソールの固さの違いとケガのリスクについてのランダム化比較試験(Randomized controlled trial)1)をまとめてみました。

▸背景
靴のクッション性は、筋骨格系の反復的な負荷からランナーを保護することが期待されているため、ランニングに関連したケガを防ぐことができると考えられています。ランニングでは、地面反力が筋骨格系にかかる主な外部負荷となります。垂直方向の地面反力と負荷率は、ケガのリスクと関連するバイオメカニクス的要因です2)。また、体重が重いランナーは、ケガを防ぐために衝撃吸収性を高めたシューズを使用するのが一般的な考え方です。

▸目的
1) 靴のクッション性がレクリエーションランナーのケガのリスクに影響を与えるかどうか
2) 靴のクッション性の影響がランナーの体重に依存するかどうか

▸Study design
ランダム化比較試験(Randomized controlled trial)

▸方法
対象者はランニング経験、フィットネスレベル、体重に関係なく、レクリエーションレベルのランナー。
対象となった848名のランナーは、ミッドソールのクッション性のみが異なる2つの実験用に作成された靴のうち、1つをランダムに受け取りました。シューズの全体的な剛性は、ソフトバージョンで61.3±2.7N/mm、ハードバージョンで94.9±5.9N/mm。実際の固さのイメージが付きにくいですが、市販されているシューズの剛性は53.9-94.9 N/mm範囲内だそうです。

実験の参加者は、提供されたシューズを使用してすべてのランニング活動を行うこと、介入期間中は週に1回以上のランニング活動を行うこと、そしてフォローアップ期間中に経験したすべてのスポーツ活動とケガや痛みを週に1回以上報告することが指示され、ランニング活動とケガに関して6ヶ月間追跡された。

また、参加者は体重の中央値をカットオフとして「軽い」・「重い」の2群に分類された(カットオフ値は、男性78.2kg、女性62.8kg)。

主要アウトカムは追跡期間中に発生した最初のランニング関連のケガ。
ケガの定義は「ランニングに関連した(トレーニングや競技会での)下肢の筋骨格系の痛みで、少なくとも 7 日間または 3 回連続して予定されているトレーニングセッションでのランニング(距離、スピード、持続時間、トレーニング)の制限や停止を引き起こしたもの、またはランナーが医師や他の健康専門家に相談する必要があるもの」。

データは、靴のクッション性の違いとケガの関連性の尺度として、time-to-event modelsを用いて、subhazard ratio ratio(SHR)とその95%信頼区間(CI)で分析。さらに、靴のクッション性の違いが体重の軽いランナーと重いランナーのケガリスクに与える影響を調査するために層別分析を行った。

▸結果
実験用シューズ着用のコンプライアンスは高く、参加者は平均して97.6%のセッションで実験用シューズを使用し、85.0%の参加者は介入期間中に他のランニングシューズを使用しなかった。
参加者の走行速度中央値は9.7km/h(四分位範囲[IQR]、8.7~10.6km/h)、1週間のランニング時間中央値は68分(IQR、41~111分)、1週間の距離中央値は10.9km(IQR、6.2~18.4km)であり、対象者の不均一性高め。

全体の発生率は、ランニング1000時間当たり5.67の傷害(95%CI、4.78~6.76)。

Primary Analysisの結果は、

  • ハードシューズを履いていたランナーはソフトシューズのランナーに比べてランニング関連のケガリスクが高い(SHR、1.52[95%CI、1.07-2.16])
  • 体重はランニング関連のケガリスクと関連していなかった(SHR、1.00[95%CI、0.99-1.01])

体重の軽いランナーと重いランナーで体重別に層別化してシューズの違いによる影響をみた結果は、

  • 体重の軽いランナーはハードシューズでのケガリスクが高い(SHR、1.80 [95% CI、1.09-2.98])
  • 体重の重いランナーはシューズの違いによる差はなかった(SHR、1.23 [95% CI、0.75-2.03])

まとめると、「ソフトシューズで走っている参加者は、ハードシューズを使用している参加者に比べて、ケガのリスクが低い。しかし、靴のクッション性を高めることによる保護効果は、体重の軽いランナーにのみ認められた。」ということになります。

本研究の結果から示唆される、体重の重いランナーにとってはランニングシューズのクッション性はランニング傷害リスクの観点から重要性が低く、体重の軽いランナーはクッション性の高い柔らかいシューズを選んだほうがケガのリスクを減らすうえで好ましいのでは、というのは意外な結果ですね。体重の重い人のほうが地面反力が大きくなるのでクッションシューズの恩恵をより受けられそうですが。今回の結果になったメカニズムについては不明ということで更なる研究が待たれます。

この研究はルクセンブルグの研究機関からの報告ですが、日本人に比べて体重が重めなので、今回の体重のカットオフ値だと日本では多くの人が体重の軽いグループに入ってしまいますね。レクリエーションレベルのランナーは基本的にはクッション性の高いシューズを選んだほうがケガのリスクを低くするためには無難であろうと思われます。

参考文献
1. Malisoux L, Delattre N, Urhausen A, Theisen D. Shoe Cushioning Influences the Running Injury Risk According to Body Mass: A Randomized Controlled Trial Involving 848 Recreational Runners. Am J Sports Med. 2020;48(2):473-480. doi:10.1177/036354651989257
2. Davis IS, Bowser BJ, Mullineaux DR. Greater vertical impact loading in female runners with medically diagnosed injuries: a prospective investigation. Br J Sports Med. 2016;50(14):887-892.

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