スポンサーリンク

整形外科疾患に対する遠隔リハビリ(TeleRehabilitation)まとめ

整形外科/スポーツ関連

前回のブログ記事で遠隔リハビリテーション(Telerehabilitation;テレリハビリテーション)について概観をまとめました。

今回は整形外科疾患に対する遠隔リハビリについて先行研究をまとめてみようと思います。

遠隔リハでの理学療法評価の信頼性と妥当性はどうか?

治療を実施する前に、評価が正確に行えるということが重要です。遠隔で行う理学療法評価の信頼性と妥当性はどうなんでしょうか。システマティックレビューがあったので読んでみました。

【目的】
筋骨格系障害に対するテレリハビリテーション(TR)をベースとした理学療法評価の妥当性と信頼性を体系的に探り、まとめること

【研究デザイン】
Systematic review

【方法】
PubMed、EMBASE、PsycINFO、Cochrane Library、CINAHLなど、多くの電子データベースを用いて包括的な文献レビュー。期間は2000年1月から2015年5月。筋骨格系疾患に対するTRベースの理学療法評価の妥当性、評価者間および評価者内の信頼性を検討した研究が対象。独立した2人の査読者が、Quality Appraisal Tool for studies of diagnostic Reliability(QAREL)とQuality Assessment of Diagnostic Accuracy Studies(QUADAS)ツールを用いて、それぞれ信頼性研究と妥当性研究の方法論的な質を評価した。

【結果】 合計 898 件のヒットがあり、そのうち 11 件の論文を対象とした。9件の研究では併存的妥当性、評価者間信頼性、評価者内信頼性が調査され、2件の研究では併存的妥当性のみが調査された。レビューされた研究は、方法論の質が中程度から良好であった。疾患内訳は腰痛2論文、肩と肘の疼痛が各1論文、下肢の疾患1論文、TKA、足関節疾患。

疼痛、腫脹、可動域、筋力、バランス、歩行、機能評価などの理学療法評価は良好な併存的妥当性を示した。
しかし、腰椎姿勢、特殊整形外科的検査、神経力学的検査 (neurodynamic tests)、瘢痕評価の併存的妥当性の報告は低~中程度であった。

【結論】 TRベースの理学療法評価は、腰椎姿勢、整形外科的特殊検査、神経力学的検査、瘢痕評価を除き、全体的に良好な併存的妥当性と優れた信頼性を有し、技術的に可能であった。

関節可動域はオンラインでの画像上から角度を算出する方法である程度はいけそうです。カメラの特性や関節の可動面の向きによっても異なるとは思うのでセッティング重要ですが。

筋力に関しては、自重での動きや重錘などの負荷で確認した研究が多いようです。状態によってはそれだけでは不十分な場合があるような気がします。片脚スクワットや立ち上がり、Hopなどのパフォーマンステストを活用したほうが良いかもしれませんね。

姿勢や動作評価もカメラのセッティングや動ける環境があれば評価できそうですね。

総じて、工夫すればある程度の整形外科で必要な評価はできそうです。患者側のカメラやスペースに依存する部分が大きいところが課題になりそうですが。あとは、触診が必要な細かな状態評価はできないのがネックになりそうです。

整形外科疾患に対する遠隔リハビリの効果はあるか?

遠隔リハビリの効果のほどはどうなんでしょうか?従来の対面リハビリと比較して有効なのかどうか。これに関しても2017年にsystematic review and meta-analysisが出ています。やはり海外ではこのトレンドは進んでいる印象です。

【目的】
筋骨格系疾患の管理のためにリアルタイム・遠隔リハビリテーション(Real-time telerehabilitation)を介して提供される治療の有効性を評価し、リアルタイム・遠隔リハビリテーションが、従来の提供方法に匹敵するかどうかを判断すること。

【研究デザイン】
Systematic review and meta-analysis

【方法】
6つのデータベース(Medline、Embase、Cochrane CENTRAL、PEDro、psycINFO、CINAHL)を開始から2015年11月までの期間で検索し、筋骨格系疾患に対するリアルタイム遠隔リハビリテーションの転帰を報告した文献をピックアップ。
2人のレビュアーが5913件の抄録をスクリーニングし、13件の研究(n = 1520)が採用基準を満たした。
結果は、主要アウトカム指標に基づいてメタアナリシスのためにプールされ、標準化された平均差と95%信頼区間(CI)を算出。

【結果】
13研究を表にまとめたのが下記です。電話でのフォローアップがビデオよりもやや多いですね。TKA,THAといった人工関節の対象が6論文と約半数を占めています。

表1 整形外科疾患に対する遠隔リハビリのシステマティックレビューに採用された論文一覧 Cottrell MA, 2017より引用、一部改変

結果、遠隔リハビリテーションは身体機能の改善に有効であることを示唆した(SMD 1.63、95%CI 0.92-2.33、I2=93%)。身体機能に対する効果は対照群よりも遠隔リハ群においてわずかに好ましい結果(SMD 0.45、95%CI 0.20-0.70、I2=56%)(図1参照)。

サブグループ解析において、TKAでは対照群と遠隔リハ群の効果に差がなく(SMD 0.16, 95% CI −0.05–0.38,I 2 = 0%)、THA では遠隔リハ群においてより改善が認めらた(SMD 0.77, 95% CI 0.52-1.02, I 2 = 0%)。

電話を遠隔リハビリテーションの媒体として利用した研究は、中程度の効果を示した(SMD 0.67, 95% CI 0.38-0.95, I 2 = 35%)。一方、テレビ会議ソフトは、効果は小さかった(SMD 0.22, 95% CI 0.01-0.43, I 2 = 0%)。←これ意外ですね。ビデオのほうが効果がでそうなものですけど。

通常のケアに遠隔リハビリテーションを追加することは、通常のケア単独よりも有意に有効であることが示唆された(SMD 0.64,95%CI 0.43-0.85,I 2 =10%)。

図1 身体機能に関する介入効果のフォレストプロット Cottrell MA, 2017より引用、一部改変

疼痛の改善は対面介入群と遠隔リハ介入群で同等の結果だった(SMD 0.66、95%CI -0.27-1.60、I2=96%)(図2参照)。図2のフォレストプロットを見ると2つの研究が遠隔リハのほうに引っ張ってますけど、全体をみると95%CIは0をまたいでいますね。

図2 疼痛に関する介入効果のフォレストプロット Cottrell MA, 2017より引用、一部改変

【結論】
リアルタイム遠隔リハビリテーションは、様々な筋骨格系の状態における身体機能と疼痛の改善に効果的であり、従来の医療提供方法と同等の効果があるように思われる。

遠隔リハビリテーションにおいては、モビライゼーションを含めた関節の他動的な運動であったり筋筋膜に対しての徒手的な治療といった直接的な介入はできません。なのでそういった治療が必要な状態に関しては、対面での直接的な介入が有効であるだろうと思います。ただ、運動の指導や経過の観察に関しては遠隔でも十分にできるのではないかと考えられます。遠隔でできることできないことをふまえた上で適応を選べば、有効なリハビリテーション治療の選択肢の一つとして使っていけそうですね。

参考文献
1) Mani S, Sharma S, Omar B, Paungmali A, Joseph L. Validity and reliability of Internet-based physiotherapy assessment for musculoskeletal disorders: a systematic review. J Telemed Telecare. 2017 Apr;23(3):379-391. doi: 10.1177/1357633X16642369. Epub 2016 Mar 31.
2) Cottrell MA, Galea OA, O’Leary SP, Hill AJ, Russell TG. Real-time telerehabilitation for the treatment of musculoskeletal conditions is effective and comparable to standard practice: a systematic review and meta-analysis. Clin Rehabil. 2017 May;31(5):625-638. doi: 10.1177/0269215516645148. Epub 2016 May 2.

コメント

タイトルとURLをコピーしました