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腸脛靭帯、外側広筋と膝蓋骨のつながり

Study

膝蓋大腿関節症で膝蓋骨外側に疼痛のあるケースや、膝蓋骨の外側偏移などのマルトラッキングがあるケースに対して、腸脛靭帯につながる大腿筋膜張筋と大殿筋、腸脛靭帯と外側広筋といった大腿から膝蓋骨外側の組織を徒手的にリリースすることで症状が軽快することがあります。

これは腸脛靭帯、外側広筋といった外側の組織と膝蓋骨が連結を持っているからと考えられます。そのあたりで参考になるのがこの論文。

全文フリーで読めます。

35の膝関節の献体標本を用いて、膝関節外側のマクロ解剖を検討した論文です。

深筋膜が一番表層で関節包、膝蓋大腿靭帯を深層とすると、大腿四頭筋腱膜と腸脛靭帯が中間層となります。
深筋膜は膝蓋骨に直接付着せず全体をブレースのように覆っていて、外側広筋、腸脛靭帯は膝蓋骨との連結を持っています。

Merican, JBJS, 2008より引用 一部改変

腸脛靭帯は浅層で大腿骨外側を縦走していて、主にGerdy’s結節に付着します。

Merican, JBJS, 2008より引用 一部改変

腸脛靭帯の一部線維は膝蓋骨方向に横走していて、膝蓋骨外側と外側広筋に一部付着を持っています。

Merican, JBJS, 2008より引用 一部改変

下図右のような感じで膝蓋骨との付着があります。縦走する腸脛靭帯と完全には分けられない線維のようです。

Merican, JBJS, 2008より引用 一部改変

この腸脛靭帯と膝蓋骨外側のつながりがあるため、腸脛靭帯は膝蓋骨トラッキングに影響を与えると考えられます。
大腿筋膜張筋や大殿筋のタイトネスは腸脛靭帯を介して膝蓋骨を外側変位させる可能性があります。

個人的にはこの解剖に関する論文を読んで、膝蓋大腿関節症のリハビリを行う際のコンセプトが自分の中でブラッシュアップされて、膝蓋骨外側の解剖に関する知識が少しクリアーになりました。
興味ある方は全文見てみてください。

参考文献
Merican AM, Amis AA. Anatomy of the lateral retinaculum of the knee. J Bone Joint Surg Br. 2008 Apr;90(4):527-34. doi: 10.1302/0301-620X.90B4.20085.

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