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足部・足関節の痛みは変形性膝関節症の進行に関係するのか?

整形外科/スポーツ関連

足部は歩行中に地面に接する唯一のインターフェイスになります。地面へ力を伝え,地面から反力を受ける土台となるので,身体運動を考える上で興味深いところです。今までに足部からの運動の波及についての研究もなされています1)2)。このあたりはわりと日本の理学療法士が好きな分野なんじゃないかと思います。私も下肢の疾患の場合は必ず足の状態も確認しますし,アスリートの場合には上肢の疾患の場合も足の状態から全体を捉えるようにしています。実際に,下肢の関節疾患は単独で存在せず多関節に渡るという報告もあります3)

今回は,足部/足関節の痛みなどの症状が,変形性膝関節症の進行と関連するのかを検討した興味深い研究4)があるので紹介します!

足部もしくは足関節の症状が膝の症状と変形性関節症の進行に関連があるのかをみた,前向きコホート研究です。

the Osteoarthritis Initiative(OAI)に登録された対象者の中から,過体重,過去の膝のケガなど変形性膝関節症のリスク因子を2つ以上持っている対象者群を選び,更にその群から頻繁な膝の症状を有していない者を今回の研究の対象としています。
OAIについて知らなかったのですが,アメリカで前向き(prospective)に観察研究をしているプロジェクトみたいです。大規模疫学データ集めるのは大変ですけど,予防策を考えていく一手目としてほんと大事ですよね。

この研究でリスクファクターとして検討したのは,ベースライン時点での足部/足関節の自覚的な症状(足部/足関節の痛み,固さが一日のうち半分以上ある状態が過去一か月間持続している)の有無です。

結果の指標は,膝の症状の進行(過去一年の間に膝周囲の疼痛,固さが一ヵ月間のほとんどある状態), レントゲン上の変形性膝関節症の進行(Kellgren and Lawrence分類≧2)の二つ。これをベースラインから一年毎にフォローアップし,4年間の追跡調査を行いました。

結果を見てみましょう。
1020名の変形性膝関節症の症状のない対象者がこの研究の条件に合致。そのうち133名(13%)が少なくとも片側の足部/足関節の症状を有していました。足部/足関節の症状がある群はない群と比較し,女性が多く,若く,Black/African Americanが多く,BMI高値という傾向がありました。

膝の症状進行リスクをみるためにオッズ比を算出しています。足部/足関節の症状がどちらかもしくは両方にある場合,膝の症状が進行するオッズ比は1.55(95% confidence interval 1.10 to 2.19), レントゲン上の変形性膝関節症進行のオッズ比は3.28(95% confidence interval 1.69 to 6.37)でした。
症状の発生した膝と反対側の足部/足関節の症状がある場合,膝の症状が進行するオッズ比は1.68(95% confidence interval 1.05 to 2.68), レントゲン上の変形性膝関節症進行のオッズ比は3.08(95% confidence interval 1.06 to 8.98),
両側の足部/足関節の症状がある場合,レントゲン上の変形性膝関節症進行のオッズ比は4.02(95% confidence interval 1.76 to 9.17)でした。

つまり,足部/足関節の症状が両側>反対側>同側の順で膝の症状と変形性関節症が進行する危険が大きいということになります。

考察。
症状が進行した膝関節と反対側の足の症状のオッズ比が高いうことは,足の疼痛回避のために同側の荷重量が減っていた→反対側の荷重が増えていた可能性がある。
荷重はダイレクトに膝関節のストレスに直結するのでこれはあるでしょうね。

また,バイオメカニクス的には,回内足からの運動連鎖により脛骨大腿関節の回旋が生じ,変形性膝関節症のリスクが高まるという報告5)がある一方,足部のrearfoot eversion, rearfoot internal rotation and forefoot inversionにより膝関節外的内転モーメントが減少するので,回内足は膝関節内側の負荷を減らすための代償的適応という報告もあり6),回内足に対しての治療が必要なのかどうかは議論の余地があります。

この研究では,他のリスク因子の影響が調整されていないのが大きなリミテーションですね。そもそも足の症状がある群のほうがBMI高いのでそこはかなり結果に影響しているかと。

 

足部/足関節に症状がある人が,将来的に変形性膝関節症のリスクを持っていることは念頭に置いておいたほうが良いですね。
今後介入研究の報告が増えてくると臨床に使える知見が増えそうです。

参考文献
1. Tateuchi H, Wada O, Ichihashi N. Effects of calcaneal eversion on three-dimensional kinematics of the hip, pelvis and thorax in unilateral weight bearing. Human movement science. 2011 Jun;30(3):566-73. Epub 2011/04/05.
2. Souza TR, Pinto RZ, Trede RG, Kirkwood RN, Fonseca ST. Temporal couplings between rearfoot-shank complex and hip joint during walking. Clinical biomechanics (Bristol, Avon). 2010 Aug;25(7):745-8. Epub 2010/07/14.
3. Keenan AM, Tennant A, Fear J, Emery P, Conaghan PG. Impact of multiple joint problems on daily living tasks in people in the community over age fifty-five. Arthritis and rheumatism. 2006 Oct 15;55(5):757-64. Epub 2006/10/03.
4. Paterson KL, Kasza J, Hunter DJ, Hinman RS, Menz HB, Peat G, et al. The relationship between foot and ankle symptoms and risk of developing knee osteoarthritis: data from the osteoarthritis initiative. Osteoarthritis and cartilage. 2017 May;25(5):639-46. Epub 2016/12/13.

5. Gross KD, Felson DT, Niu J, Hunter DJ, Guermazi A, Roemer FW, et al. Association of flat feet with knee pain and cartilage damage in older adults. Arthritis care & research. 2011 Jul;63(7):937-44. Epub 2011/07/01.
6. Levinger P, Menz HB, Morrow AD, Bartlett JR, Feller JA, Bergman NR. Relationship between foot function and medial knee joint loading in people with medial compartment knee osteoarthritis. Journal of foot and ankle research. 2013 Aug 8;6(1):33. Epub 2013/08/10.

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