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投球時の肩関節負荷を最小にするボールリリース時の肩関節ポジションは?

整形外科/スポーツ関連

野球の投手で肩関節を痛めた選手をみる際に、投球フォームと痛みの関連を考える必要があります。
投球フォームは選手によってさまざまなので、リハビリテーションの場面で細かい修正はやらないほうが良いと思っています。じゃあどこを修正すべきかというと、肩関節の障害と関連があると明らかになってきている要素に関しては、フォーム修正のアドバイスや修正のためのエクササイズを行う必要があるのではと考えています。

レイトコッキングの終わりからアクセラレーションフェイズでの肩関節水平外転(hyperangulation;ハイパーアンギュレーション)と腱板部分断裂やSLAP損傷、腱板疎部損傷といった肩関節の損傷が関係するとの報告があります。そのため、レイトコッキングからの過度な肩関節水平外転に関しては肩関節損傷のリスクを高めると考え、修正するように指導しています。

最近の新しい報告で、ボールリリース時の肩関節ポジションと肩関節にかかる剪断力の関係に関する動作解析が出ていたので読んでみました。 

▸対象
青少年の野球投手183名(平均15.5歳)

▸方法
三次元動作解析装置にて速球投球時の動作を解析
ボールリリース時の肩関節の外転、水平内外転のポジションと肩関節にかかる剪断力(前後、上下、近位)の相関をみた。

Tanaka, et al. AJSM, 2018より引用

▸結果
肩関節外転角度と肩関節にかかる上下の力に相関あり(R2=0.39) 肩関節が外転するほど肩関節にかかる上方への剪断力が減少する。
肩関節水平外転角度と肩関節にかかる前後の力に相関あり(R=0.72) 肩関節が水平内転するほど肩関節にかかる前方への剪断力が減少する。

Tanaka, et al. AJSM, 2018より引用

肩関節にかかる前後の剪断力と上下の剪断力が最小になるボールリリース時の肩関節のポジションは外転80.6°、水平内転10.7°

 

今回の肩関節角度は、モーションキャプチャシステムで計測した三次元空間での胸郭座標に対する上腕骨座標のオイラー角なので、実際の肩関節角度(肩甲骨に対する上腕骨)とは一致しませんが、参考になります。
モーションキャプチャシステムがあって投球動作を実際に計測できる場合は、今回の研究のデータを参照して選手にフィードバックすることもできますね。
こういう研究がもっと増えてくるとケガをしないための投球動作の指導も根拠に基づいてできるようになりますね。

参考文献
Hiroshi Tanaka,Toyohiko Hayashi,Hiroaki Inui, et al. Estimation of Shoulder Behavior From the Viewpoint of Minimized Shoulder Joint Load Among Adolescent Baseball Pitchers. Am J Sports Med. 2018. 46(12):3007-3013

 

 

 

 

 

 

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