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テニス肘に対する理学療法と遠心性収縮エクササイズの効果

Study

肘の外側に痛みが生じる、いわゆるテニス肘がなかなか治らずに悩まされている方は多いと思います。テニスやっていないけど家事で肘が痛くなって、病院へ行くとテニス肘の診断をうけることもありますよね。

テニス肘は医学的には肘外側の橈側手根伸筋や総指伸筋腱の炎症(Lateral elbow tendinopathy)もしくは外側上顆炎(Lateral Epicondylitis)と表現されます。

有病率は1.1~1.3%との報告1)があり、多くの人は未治療でも1年に改善するが1/3程度は治療を受けても症状が慢性化することがあるといわれています。

理学療法士ができる治療の内容を整理したいなと思い、ちょっと調べてみました。

2021年にBMJ openで発表されたコンセンサススタディ2)が現状理学療法士ができる治療の概観をとらえるのに分かりやすかったので内容抜粋します。ちなみにこのコンセンサススタディはCOVID-19の影響のためオンラインで実施したみたいです。オンラインで専門家が相談して研究を完結できるってすごい効率良いですよね。

この論文にevidence flowerをいう図表現があったんですが、こういう図初めて見ました。おしゃれ。

テニス肘に対する治療のエビデンスフラワー 文献2より引用

この研究のコンセンサスグループの結論としては、

  1. アドバイスと教育
  2. エクササイズ
  3. 装具

を含めた理学療法主導のプログラムが良いのではないかということで、今後の研究で検証していくようです。

やはりkeyはエクササイズ、特に病態が腱炎なら遠心性収縮ははずせないよな、と思いつつ遠心性収縮のエクササイズの効果に関する論文も調べてみました。

紹介するのはこの論文。

テニス肘に対する遠心性エクササイズの効果についてのメタアナリシスです。

結果、8論文がメタアナリシスにセレクト。

それぞれのプログラムは以下のような感じです。

気になる結果としては、遠心性とその他のエクササイズで効果に差があるのか、というところ。

短期的な疼痛の変化に関して比較したフォレストプロットをみてみると、Std. Mean Difference 1.00で遠心性のほうが良いという結果でした。

機能に関してもトレーニングの効果はあるようですが、遠心性とその他のエクササイズでの差ははっきりしないようです。

結論、テニス肘に対する遠心性収縮エクササイズは短期的な疼痛改善に有効。

エクササイズの適切な強度や頻度に関してはさらなる研究が必要とのことです。どの程度まで疼痛を許容するか、頻度はどうするかなど、対象者の状態に応じて調整すべきところでもあるので、まだまだ検討課題があります。

テニス肘の理学療法においては、ストレッチやマッサージだけではなくて、疾患や生活に関する指導や遠心性収縮エクササイズを積極的に入れていきたいですね。

  1. Walker- Bone K, Palmer KT, Reading I, et al. Prevalence and impact of musculoskeletal isorders of the upper limb in the general population. Arthritis Rheum 2004;51:642–51.
  2. Bateman M, Saunders B, Littlewood C, Hill JC. Development of an optimised physiotherapist-led treatment protocol for lateral elbow tendinopathy: a consensus study using an online nominal group technique. BMJ Open. 2021;11(12):e053841. Published 2021 Dec 23. doi:10.1136/bmjopen-2021-053841
  3. Chen Z, Baker NA. Effectiveness of eccentric strengthening in the treatment of lateral elbow tendinopathy: A systematic review with meta-analysis. J Hand Ther. 2021;34(1):18-28. doi:10.1016/j.jht.2020.02.002

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