1年以上前から受けようとしていたけどコロナのこともあり延期になって受けられていなかった日本理学療法士協会の臨床実習指導者講習会を受けてきました!オンライン開催しているところもありますが、私は実際に会場で受けました。
2日間、約18時間(休み時間含め)というなかなかの長丁場の講習会で、参加前はかなり面倒に感じていましたが、実際参加してみるとグループディスカッションや発表などの演習形式の時間が多く、久々に初めて会ういろんな病院のPTと話しができて私としては楽しくやってこれました。コロナが流行ってからは学会も勉強会もオンライン参加が多く、新たな出会いが減っていたので、こういう交流に飢えていたのだなと気づきました。やっぱり直接会って話したり、偶然の出会いで意気投合したり、普段出会うことのない人と会っていろんな考え方の人がいることを知ったりするのは、自分の世界を広げるために重要ですね。
実習指導者講習会の内容は、実習制度の仕組みや問題点から、ハラスメント、教育方法、実習の構成や学生評価についてなど、実習や指導にかかわる様々な内容となっています。
PTの養成課程ではこういう教育をあまり受けずに臨床に出て、5年くらいたったころから学生を指導するようになっていってしまうので、指導者の質のばらつきはどうしても出てしまいます。
今までの臨床実習指導はあまりにも実習施設の指導者個人の資質によるところが大きすぎて、権限もあいまいだったなーと実感しました。
私が学生の頃も指導者からの行き過ぎた指導や無視などでメンタルに不調をきたした知り合いもいました。平成25年には臨床実習指導者からのパワハラによって自殺しまったケースも起きてしまいました。
また、理学療法士の実習に関する法的根拠があいまいなところがあり、学生が実際に患者を担当して治療を行うことも実際にあり、それについて無資格診療にあたるのではないかという議論が国会でなされたことも、今回の講習会が始まった経緯であるようです。
こういった流れをうけて医師や看護師の実習制度を参考に、理学療法士の実習に関するガイドラインのようなものを作成したようです。いままでそういうものが明確になっていなかったというのは問題でしたね。
今回講習会で学んで、今後の実習生指導に必ず反映させなきゃなーと個人的に思ったのが、「基本技術の水準」、「45時間/週という時間内での実習」、「ケース担当型ではなく診療参加型実習」という三点です。
まずは、「臨床実習において実習生が実施可能な基本技術の水準」ですが、実習生が実施してよい内容に関して以下の3つの水準で細かく規定されています。
- 水準Ⅰ 指導者の直接監視下で実習生により実施されるべき項目
- 水準Ⅱ 指導者の補助として実施されるべき項目および状態
- 水準Ⅲ 見学にとどめておくべき項目および状態
臨床実習において実習生が実施可能な基本技術の水準のpdf資料は、こちら。
基本は臨床実習中には水準Ⅰまで経験することが目標となります。ただし、患者の状態に応じて水準は変わるのでそのあたりは現場判断になるということです。
臨床実習の時間についても、はっきりと意識したことがなかったのですが、
臨床実習の1単位の時間数を「1単位を40時間以上の実習をもって構成することとし、実習時間外に行う学習等がある場合には、その時間も含め45時間以内」
というように規定されていたようです。実習1単位:45時間/週以内(病院内での実習8時間/日×5日とすると一週間のうち実習外での学習は一日1時間以内で5時間/週)、となりますね。
実習外の学習に関しても時間が規定されていたのは知らなかったです。今まで私が指導した学生も、自宅で学習してもらうことが多かったので完全に時間オーバーでこの基準に照らし合わせるとあきらかアウトでした。。
あとは理学療法士教育における「診療参加型臨床実習」についてもしっかりと学んだことがなかったので勉強になりました。
診療参加型実習とはざっくりとまとめると、次のような内容になります。
- 実習生がチームの一員として実際に診療に参加
- 実践的な臨床能力を身に付ける臨床に参加する形式
- チームの立案した診療計画に基づき、実習指導者の監督・指導のもとで患者を受けもつ等診療に参加するもの
- 実習生が単独で行動したり、実習生の考えた診療内容を実施したりする担当型臨床実習や、実習指導者の診療の横についているだけの見学型臨床実習ではない(理学療法モデル・コア・カリキュラムより)
ケースを担当して、評価から問題点抽出(クリニカルリーズニング)、目標設定、治療内容立案、実際の反応や変化を再評価するといった一連の流れを実習生が自分で行うことは求めないということになります。この辺りは旧来の実習スタイルから大きな転換が必要だなと思いました。どうしても実習生に対して「考えさせ」たり「レポートでまとめさせ」たりしがちだったと思うので。
ただ、評価から問題点を考えること、治療内容を考えることというのは、理学療法の根幹だと思うので、実習生の能力に応じてうまく伝えてあげられるようにしたいなと考えています。
自分の施設での臨床実習計画についても、職場で話し合ってアップデートしないとなー。
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