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遠隔リハビリで提供できる価値は何か?

本の感想や雑感

2020年6月19日より県をまたいでの移動が解除され、コンサートや展示会などの人が集まるイベントも制限付きではありますが徐々に再開できるようになってきています。

緊急事態宣言下の状況において、私の勤務する整形外科の外来患者が中心のクリニックも来院される患者様は激減したため、遠隔リハビリ(テレリハビリテーション; tele-rehabilitation)についての価値を考える時間がありました。

オンラインでのリハビリ指導についてトライアルをやった経験とオンライン会議などを実施した経験から、オンラインでの遠隔リハビリでできることと、できないことをまとめてみました。ちなみに整形外科系の疾患を想定しています。

オンラインで「できる」こと

  • 問診・・・問診に関してはほぼオフラインでの対面と同レベルでできますね。問診がしっかりできれば大まかな治療方針は立てられるので非常に重要です。
  • 視診・・・関節の状態などの視診、大まかな姿勢の評価などは視診でできます
  • 動作の評価(Biomechanical assesment)・・・その場でできるようなものは概ねチェックできる(どの程度できるかは対象者側の場所とカメラなどの状態による)。ダイナミックな動作は動画などを撮っておいてもらってそれを送ってもらえるとアドバイスできる
  • 基本的なエクササイズ指導・・・動作を見せるのと口頭指示を組み合わせて実施可能。機器を使わないものに限る
  • 生活の注意点や工夫など指導・・・ちょっとした生活の中での工夫などは身体にかかるストレスをコントロールするうえで重要なポイントです

オンラインで「できない」こと

  • 触診・・・触らないと分からない筋の状態や胸郭や脊柱のアライメントや微細な可動性の評価などは触ってみないと評価できない
  • 徒手的な治療(e.g. 筋膜リリース, 関節モビライゼーション)・・・徒手療法は理学療法の重要パートですがこれはオンラインではできません
  • 物理療法機器などを用いた治療・・・超音波治療などは機器がないとできません
  • ダイナミックなエクササイズ指導・・・ジャンプやホップ、ランなどのダイナミックな動作はスペースやカメラの関係で指導しにくい

遠隔リハビリで提供できる価値とは

私の考えるオンラインでの遠隔リハビリで提供できる最も大きな価値は、対象者と理学療法士がインタラクティブに対話し、状態を評価し、パーソナライズされた指導を行うことができることだと感じています。患者様自身がYouTubeなどで動画をみてエクササイズを行うだけでは、そのエクササイズが本当に自分に必要なのかを判断することは難しいと思います。

触って行う評価や治療ができないことや動作を三次元的にとらえることがやや困難になることによって、提供できる理学療法はやや大味なものかもしれません。ですが、オンラインであっても専門家による身体の状態評価と、評価に基づいたよりパーソナライズされたアドバイスやエクササイズの指導を受けられるという価値は、患者様にとっても有益なものになるのではないかと考えています。

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